島内地下式横穴墓群~国指定重要文化財
5世紀初めから7世紀前半の古墳時代に、南九州の東側につくられた地下式横穴墓は、墳丘を造らず地下の「玄室」に遺体を葬る九州南部特有の墓です。
横穴式石室系板石積石棺墓

この建物は、板石積石棺墓と横穴式石室との折衷型という日本唯一の遺構が発見されたことから、そのままの姿を保存し、実物展示をするためにつくられました。

この墳墓は、玄室南側に羨道または横口と呼ぶ出入口と門が設けられ、北面の中央に大きな石を設置しています。
板石の内側には赤い色の顔料が塗られており、身分の高い人たちの墓だったと思われます。
畑の開墾に伴い、墳墓の上部は削られていますが、それでも保存されるべき価値の高いものです。
島内地下式横穴墓群第139号墓

(注意)現在は埋め立て整地されています。
平成26年10月から調査をしていた島内地下式横穴墓群第139号墓で、1500年前の大量の副葬品を納めた地域首長墓を完全な状態で発見しました。



基本情報
- 年代は、5世紀末~6世紀初頭=古墳時代中期末~後期初頭
- 九州南部に特徴的な地下式横穴墓(墳丘・埴輪などはない)
- 島内地下式横穴墓群中の墓としては、玄室は最大級
- 国の重要文化財にも指定されている島内地下式横穴墓群の中でも、最多・最上位の副葬品が完全な状態で出土
- 男女と考えられる二人が埋葬。追葬はなし
特筆すべき点
地位の高い首長層の古墳の場合、未盗掘で発掘調査されることが極めて稀です。土にも触れず、通常では腐ってしまうような、繊維や革などが多量に残存しています。金属器の状態も良好で、有機質も金属も良好な残存というのは稀です。
同レベルの副葬品の組み合わせを持つ古墳は希少です。全国的にも各県あるいは、旧国に1基程度あるかないかのものです。
「島内地下式横穴墓群第139号墓」現地説明会資料
市教育委員会では、現地説明会を開催しました。その際、お配りした資料を公開します。
ぜひ、ご覧ください。
資料
象嵌鍛冶具の新発見
平成26年度に大量の副葬品が出土した島内139号墓で、象嵌による装飾を施した鍛冶具が28年になって新たに見つかりました。日本列島でも、朝鮮半島でも出土したことのない新発見の資料です。
(注意)鍛冶具とは、鉄を中心とする金属器の生産に用いる道具で、象嵌装飾はこの時代の最先端技術です。(古墳時代後期前葉・6世紀前葉)
更新日:2022年02月28日