○えびの市長等政治倫理条例
(平成22年12月15日えびの市条例第29号)
改正
令和元年12月16日条例第31号
(目的)
第1条
この条例は、市政が市民の厳粛な信託によるものであることを認識し、その受託者たる市長、副市長及び教育長(以下「市長等」という。)が、市民全体の奉仕者として、その人格と倫理の向上に努め、いやしくもその権限又は地位による影響力を不正に行使して、自己及び特定の者の利益を図ることのないよう必要な措置を定めることにより、市政に対する市民の信頼に応えるとともに、市民の市政に対する主権者としての正しい認識と自覚を喚起し、もって公正で開かれた民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。
(市長等の責務)
第2条
市長等は、市民全体の奉仕者として、市政に携わる権能と責務を深く自覚し、市民の信頼に値する高い倫理性を持つとともに、市民に対し常に自らすすんでその高潔性を明らかにしなければならない。
2
市長は、その職に就任後速やかにこの条例を遵守する旨の宣誓書を作成するものとし、副市長及び教育長は、その職に就任後速やかに市長に、この条例を遵守する旨の宣誓書を提出しなければならない。
(市民の責務)
第3条
市民は、主権者として自らも市政を担い、公共の利益を実現する責任を負うことを自覚するとともに、市長等に対して、その権限又は地位による影響力を不正に行使させるような働きかけを行ってはならない。
(政治倫理基準)
第4条
市長等は、次に掲げる政治倫理基準を遵守しなければならない。
(1)
市民全体の代表として品位と名誉を損なうような一切の行為を慎み、その職務に関し不正の疑惑を持たれるおそれのある行為をしないこと。
(2)
常に市民全体の利益のみをその指針として行動するものとし、その地位を利用していかなる金品も授受しないこと。
(3)
市及び地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第221条第3項に規定する法人が行う工事等(下請工事を含む。)の請負契約、業務委託契約及び物品納入契約その他の契約並びに法第244条の2第3項に規定する指定管理者の指定に関し、特定の者に対して有利又は不利な取計らいをしないこと。
(4)
市が行う行政庁の処分その他の行為に関し、特定の者のために有利な取計らいをしないこと。
(5)
市職員(臨時的任用職員及び会計年度任用職員を含む。以下同じ。)の公正な職務執行を妨げ、又はその地位による影響力を不正に行使するよう働きかけないこと。
(6)
市職員の採用に関して推薦又は紹介をしないこと。
(7)
政治活動に関して、企業、団体等から寄附等を受けないものとし、その後援団体についても、政治的又は道義的批判を受けるおそれのある寄附等を受けないこと。
(8)
市長は、第16条第1項に規定する職務関連犯罪容疑による逮捕以後において、法第178条第1項の規定に基づき議会を解散する場合は、議会への通知後速やかに、市民に対し、その理由を書面により明らかにするとともに、公表すること。
(9)
市長は、法に定めるその地位に基づく権限を行使する場合においては、その権限を規定する各条項の制定趣旨に反しないこと。
2
市長等は、前項の政治倫理基準に反する事実があるとの疑惑を持たれたときは、誠実な態度をもって疑惑の解明に当たるとともに、その責任を明らかにするよう努めなければならない。
一部改正〔令和元年条例31号〕
(資産等報告書及び資産等補充報告書の作成)
第5条
市長は、その任期開始の日(再選挙により市長となった者にあっては、その選挙の期日とし、公職選挙法(昭和25年法律第100号)第259条の2の規定の適用がある者にあっては当該者の退職の申立てがあったことにより告示された選挙の期日とし、更正決定又は繰上補充により当選人と定められた市長にあっては、その当選の効力発生の日とする。次項において同じ。)において有する次の各号に掲げる資産等について、当該資産等の区分に応じ、当該各号に掲げる事項を記載した資産等報告書を、同日から起算して100日を経過する日までに、作成しなければならない。
(1)
土地(信託している土地(自己が帰属権利者であるものに限る。)を含む。) 所在、面積及び固定資産税の課税標準額並びに相続(被相続人からの遺贈を含む。以下同じ。)により取得した場合は、その旨
(2)
建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権 当該権利の目的となっている土地の所在及び面積並びに相続により取得した場合は、その旨
(3)
建物 所在、床面積及び固定資産税の課税標準額並びに相続により取得した場合は、その旨
(4)
預金(当座預金及び普通預金を除く。)及び貯金(普通貯金を除く。) 預金及び貯金の額
(5)
有価証券(金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第1項及び第2項に規定する有価証券に限る。) 種類及び種類ごとの額面金額の総額(株券にあっては、株式の銘柄及び株数)
(6)
自動車、船舶、航空機及び美術工芸品(取得価額が100万円を超えるものに限る。) 種類及び数量
(7)
ゴルフ場の利用に関する権利(譲渡することができるものに限る。) ゴルフ場の名称
(8)
貸付金(生計を一にする親族に対するものを除く。) 貸付金の額
(9)
借入金(生計を一にする親族からのものを除く。) 借入金の額
2
市長は、その任期開始の日後毎年新たに有することとなった前項各号に掲げる資産等であって12月31日において有するものについて、当該資産等の区分に応じ同項各号に掲げる事項を記載した資産等補充報告書を、その翌年の4月1日から同月30日までの間に、作成しなければならない。
(所得等報告書の作成)
第6条
市長(前年1年間を通じて市長であった者(任期満了により市長でない期間がある者で当該任期満了による選挙により再び市長となったものにあっては、当該市長でない期間を除き前年1年間を通じて市長であった者)に限る。)は、次の各号に掲げる金額及び課税価格を記載した所得等報告書を、毎年、4月1日から同月30日までの間(当該期間内に任期満了により市長でない期間がある者で当該任期満了による選挙により再び市長となったものにあっては、同月1日から再び市長となった日から起算して30日を経過する日までの間)に、作成しなければならない。
(1)
前年分の所得について、同年分の所得税が課される場合における当該所得に係る次に掲げる金額(当該金額が100万円を超える場合にあっては、当該金額及びその基因となった事実)
ア
総所得金額(所得税法(昭和40年法律第33号)第22条第2項に規定する総所得金額をいう。)及び山林所得金額(同条第3項に規定する山林所得金額をいう。)に係る各種所得の金額(同法第2条第1項第22号に規定する各種所得の金額をいう。)
イ
租税特別措置法(昭和32年法律第26号)の規定により、所得税法第22条の規定にかかわらず、他の所得と区分して計算された所得の金額であって規則で定めるもの
(2)
前年中において、贈与により取得した財産について同年分の贈与税が課される場合における当該財産に係る贈与税の課税価格(相続税法(昭和25年法律第73号)第21条の2に規定する贈与税の課税価格をいう。)
(関連会社等報告書の作成)
第7条
市長は、毎年、4月1日において報酬を得て会社その他の法人(法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものを含む。以下この条において同じ。)の役員、顧問その他の職に就いている場合には、当該会社その他の法人の名称及び住所並びに当該職名を記載した関連会社等報告書を、同月2日から同月30日までの間(当該期間内に任期満了により市長でない期間がある者で当該任期満了による選挙により再び市長となったものにあっては、同月2日から再び市長となった日から起算して30日を経過する日までの間)に作成しなければならない。
(市長の配偶者に係る資産等報告書等の作成)
第8条
市長は、前3条の規定による資産等報告書及び資産等補充報告書、所得等報告書並びに関連会社等報告書(以下「資産等報告書等」という。)の作成に当たっては、その配偶者に係る資産等報告書等も併せて作成しなければならない。
(資産等報告書等の保存及び閲覧)
第9条
第5条から前条までの規定により作成された資産等報告書等は、市長において、これらを作成すべき期間の末日の翌日から起算して5年を経過する日まで保存しなければならない。
2
市民は、市長に対し、前項の規定により保存されている資産等報告書等の閲覧を請求することができる。
ただし、第12条第2項の証明書類は、閲覧の対象としない。
(政治倫理審査会の設置)
第10条
資産等報告書等の審査及び第14条第1項の規定による調査請求に係る調査及び審査を行うため、法第138条の4第3項の規定に基づき、えびの市長等政治倫理審査会(以下「審査会」という。)を置く。
2
審査会の委員(以下「委員」という。)は、6人以内とし、政治倫理及び資産等報告書等の審査等に関して専門的知識を有する者及び地方行政に関して高い識見を有する者のうちから、市長が委嘱する。
3
委員の任期は、2年とする。
ただし、再任を妨げない。
4
委員が欠けた場合における補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
5
市長は、委員の選任に際しては、公平性及び公正性の確保に十分留意しなければならない。
6
市長は、委員から辞職の申出があったとき、又は委員が心身等の故障のため職務の遂行に堪えないと認めるとき、若しくは職務上の義務違反その他委員としてふさわしくない行為があると認めるときは、委嘱を解くことができる。
7
審査会の会議は、公開するものとする。
ただし、やむを得ず非公開とするときは、委員の定数の3分の2以上の同意を必要とする。
8
委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。
(審査会の職務)
第11条
審査会は、次に掲げる職務を行う。
(1)
資産等報告書等を審査し、その結果を市長に報告すること。
(2)
第14条第2項の規定による調査の求めに応じ、必要な調査及び回答をすること。
(3)
その他この条例による政治倫理の確立を図るため、市長の諮問を受けた事項につき調査及び答申をすること。
2
審査会は、前項の職務を行うため、市長等その他関係人に対し、説明又は資料の提出を求め必要な調査を行うことができる。
3
審査会は、第1項第2号の調査のうち、第4条に規定する政治倫理基準に違反する疑いがあるときに関する調査を行うに際しては、市長等に意見を述べる機会を与えなければならない。
(資産等報告書等の審査)
第12条
市長は、第5条から第8条までの規定により作成された資産等報告書等の写しを、これらを作成すべき期間の末日の翌日から起算して30日以内に審査会に提出し、審査を求めなければならない。
2
前項の資産等報告書等には、規則で定めるところにより必要な証明書類を添付しなければならない。
3
審査会は、第1項の規定により審査を求められたときは、当該審査を求められた日から起算して60日以内に審査報告書を作成し、市長に提出しなければならない。
(審査結果の閲覧)
第13条
市長は、前条第3項の規定により審査報告書が提出されたときは、当該審査報告書が提出された日から起算して15日以内に当該審査報告書を市民の閲覧に供するとともに、その要旨を速やかに公表しなければならない。
(市民の調査請求権)
第14条
市民は、次に掲げる事由があるときは、法第18条に定める選挙権を有する者50分の1以上の連署をもって、これを証する資料を添えて、市長に調査を請求することができる。
(1)
第4条に規定する政治倫理基準に違反する疑いがあるとき。
(2)
資産等報告書等に疑義があるとき。
2
前項の規定により調査の請求があったときは、市長は、市長等に係る調査請求書及び添付資料の写しを当該調査の請求があった日から起算して7日以内に審査会に提出し、調査を求めなければならない。
3
審査会は、前項の規定により調査を求められたときは、当該調査を求められた日から起算して60日以内に、市長に対し、書面により調査結果の回答をしなければならない。
この場合において、審査会は、必要と認める措置について、理由を付した文書をもって勧告し、又は建議することができる。
4
前項の規定による回答があったときは、当該回答があった日から起算して7日以内に、市長はその写しを当該請求をした者に送付しなければならない。
(市長等の協力義務)
第15条
市長等は、審査会から要求があったときは、審査に必要な資料を提出し、又は審査会の会議に出席して説明しなければならない。
(職務関連犯罪容疑による逮捕以後の説明会)
第16条
市長等が、刑法(明治40年法律第45号)第197条から第197条の4までの規定及び第198条に定める贈収賄罪その他職務に関連する犯罪(以下「職務関連犯罪」という。)の容疑による逮捕以後、引き続きその職にとどまろうとするときは、市長にあっては市民に対する説明会を開催し、副市長及び教育長にあってはその開催を市長に求めることができる。
この場合、当該市長等は、説明会に出席し釈明することができるものとする。
2
市民は、前項の説明会において、当該市長等に質問することができる。
3
第1項に規定する説明会の開催の手続その他その運営に関し必要な事項は、市長が別に定める。
(市民による説明会の開催請求等)
第17条
市民は、前条の規定による説明会が開催されないときは、法第18条に定める選挙権を有する者30人以上の連署をもって、当該市長等が起訴された日から50日以内に、当該市長等に説明会の開催を請求することができる。
2
市長等は、前項の規定による請求があったときは、当該市長等が逮捕され、又は勾留されている場合を除き、説明会を開催しなければならない。
3
市民は、説明会において当該市長等に質問することができる。
(職務関連犯罪による有罪確定後の措置)
第18条
市長等が職務関連犯罪により有罪判決の宣告を受け、その刑が確定したときは、公職選挙法第11条第1項その他法律の規定により失職する場合を除き、市長等は、その名誉と品位を守り、市政に対する市民の信頼を回復するため、必要な措置を講ずるものとする。
(委任)
第19条
この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附 則
(施行期日)
第1条
この条例は、平成23年4月1日から施行する。
(宣誓書の提出の特例)
第2条
この条例の施行の日において市長等である者は、第2条第2項の規定にかかわらず、この条例の施行の日以後速やかに、市長にあっては宣誓書を作成し、副市長及び教育長にあっては市長に同項に規定する宣誓書を提出しなければならない。
(適用区分)
第3条
第16条から第18条までの規定は、この条例の施行の日以後に逮捕され、起訴され、又は有罪とする判決の宣告を受けた市長等について適用する。
(えびの市政治倫理の確立のためのえびの市長の資産等の公開に関する条例の廃止)
第4条
えびの市政治倫理の確立のためのえびの市長の資産等の公開に関する条例(平成7年えびの市条例第21号。以下「旧条例」という。)は、廃止する。
(旧条例廃止に伴う経過措置)
第5条
この条例の施行の際現に市長等である者が、旧条例第2条から第4条までの規定により提出した資産等報告書及び資産等補充報告書、所得等報告書並びに関連会社等報告書の保存及び閲覧に関する旧条例第5条の規定は、この条例の施行の日以後においても、なおその効力を有する。
附 則(令和元年12月16日条例第31号)抄
(施行期日等)
1
この条例は、令和2年4月1日から施行する。
ただし、第1条の規定による改正後のえびの市一般職の職員の給与に関する条例第19条第1項、第19条の2、第20条第1項及び第22条第6項の規定は、公布の日から施行する。